2. 商品開発

トライアルとは?食材と缶詰加工の相性を見るマッチングテスト!

弊社では、食材と缶詰加工の相性を確認するために「トライアル」を行います。
缶詰を作る工程はトライアルと試作で同じですが、目的が大きく異なります。
ここでは、なぜトライアルを行うのか、その目的や概要についてご説明します。

トライアルの目的

缶詰製造の特徴は大きく2つあります。1つめは120℃の高温加熱を行うこと、もう1つはこの高温加熱が蓋を締めた密封状態で行われることです。
この特徴により、加熱前後で食材の味や食感等が大きく変わり、イメージしていたものとかけ離れた結果になることがあります。
商品企画・商品開発を進めたものの、試作をしてみるとイメージしたものと違ったとならないようにするためにもトライアルという過程を設けています。

トライアルの概要

弊社のトライアルでは、イチからカレーを作るといった複雑な調理は行わず、まずは調理済み食品や簡単な調理のもので試作をします。これは、美味しい缶詰を目指すのではなく、あくまでも食材と缶詰加工の相性の確認を目的としているからです。

【試作数】
試作数は最大30缶としています。5種類×6缶や3種類×10缶など、30缶の範囲内で対応可能です。

【内容物】
食材の準備方法は下記を参考にしてください。
肉類:骨や筋を除去したものを用意します。(部位によっては下茹で等の処理を行います)
魚類:頭や内臓の下処理をし、フィレ状に加工します。貝類は殻から外した身を用意します。
野菜類:土や汚れをきれいに落としたものを用意します。

食材は決まっているものの、味付けに悩まれている場合は、弊社からご提案するレシピで試作を実施します。
副原料として、地域食材(味噌、醤油等)や自社製品(タレ等)を使用したいという要望がありましたら、対応することも可能です。その場合は、食材と副原料をご用意ください。
また、お持ちのレシピで作った食品を缶詰にしてみたい場合は、事前に調理したものを用意します。

【試食】
トライアル実施後、食材の味を馴染ませるため10日〜14日空けて試食をします。
試食では高温加熱による味や食感等の変化を確認し、缶詰の可能性があるかどうか検討します。可能性があるものについては、次の試作に進むにあたり、どのような味付けが良いのか方向性を検討することもあります。
試食の評価ポイントについてはこちらをご覧ください。

缶詰の特徴

・長期常温保存が可能
缶詰にする最大のメリットでもあります。
缶詰は容器内の空気を抜きながら完全に密封し、高温加熱で微生物を殺菌しています。そのため、保存料や殺菌料も使われていません。さらに金属容器により光が遮断され、品質劣化を防いでいます。
このようにして食品の品質劣化を最低限に抑えているため、長期常温保存が可能となっています。

・食品ロス対策
本来食べられるはずの食品が捨てられてしまうことを「食品ロス」といいます。
日本では、多くの食品ロスを生み出しているということが問題としてあり、2019年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律」( 食品ロス削減推進法)が施行されました。缶詰には少量で流通に乗せられない地魚、加工過程で出る肉や魚の端材、規格外で市場に出せなかった農産物等の有効活用ができます。また、日持ちしない生鮮食品を缶詰に加工することで、賞味期限を延ばすことができます。

・いつでも食べることができる
缶詰は湯煎をして食べることもありますが、基本的に常温の状態で食べることができます。
防災食のイメージが強い缶詰ですが、近年は珍しい味付けのものや高級缶詰等、多種多様にあります。また、自宅に缶詰があるとおつまみとして食べるだけでなく、簡単にアレンジ料理を楽しむことができます。

缶詰に向く食材・向かない食材

缶詰は圧力鍋での煮込み料理と同様に高温加熱調理です。そのため、基本的には熱に強い食材が向いています。私たちの知見をもとに、缶詰に向く食材、向かない食材をご紹介します。

【野菜類】
ほうれん草や白菜等の葉物野菜は、火の通りが早いためドロドロとした状態になります。また、緑色野菜の色素は熱に弱く、鮮やかな緑色が退色します。
一方、トマトやパプリカ等に含まれる赤系の色素は熱に強く、加熱後も色が残りやすいです。
きのこ類のしいたけやしめじも食感が残りやすく、旨味成分が引き出されます。

【肉類】
肉質の柔らかいステーキ等の部位は、比較的短時間の調理で美味しく食べられます。
しかし、肉質の硬い部位は短時間調理では柔らかくならず、長時間じっくり煮込まなければなりません。これはコラーゲンのゼラチン化の変化によるものです。コラーゲンは65℃くらいから収縮し始め、75~85℃くらいでコラーゲンが分解されゼラチン化されます。
つまり、スジ肉や軟骨、ネック等のコラーゲンが多く含まれる部位は、高温で柔らかい食感になるので缶詰に向いています。

【魚介類】
魚介類は全般的に熱に強く、缶詰に向いています。
魚は身の特徴により赤身魚と白身魚で大別されますが、赤身魚は加熱すると身が締まり、白身魚は加熱しすぎると煮崩れしやすくなります。赤身魚でもサバやサンマのような青魚のほうが缶詰に向いており、マグロやカツオは身がパサつく傾向にあります。

実際には試作してみないと分からないことが多く、肉・魚の部位、食材のカット方法で加熱後の状態が異なることもあります。
まずは気になる食材を缶詰にして、理想の缶詰になるのか確認してみましょう。

工場導入にご興味がありましたら、こちらからお問い合わせください。
缶詰の共創開発にご興味がありましたら、こちらからお問い合わせください。

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