3. 食品製造

缶詰ってどうやって作るの?

トライアルで食材・レシピと缶詰の相性を確認し終えると、いよいよ試作です。
弊社では、スピードを最優先しているということもあり、3回の試作でまず商品化してみることを重要視しています。ここでは、缶詰試作の一連の流れについて私たちの経験に基づいてご説明します。
トライアルの説明は、こちらをご覧ください。

1.缶・蓋の殺菌

まずはじめに、試作で使用する缶と蓋を殺菌します。
弊社では蒸気殺菌庫を使用しています。
スチームコンベクションオーブン等でも缶・蓋の殺菌は可能です。ただし、設定温度に到達後、指定時間をカウントダウンする機能がついていないといけません。

使用する殺菌庫によって温度設定や殺菌時間は異なりますが、弊社では一般的な食中毒菌の殺菌と、東洋製罐製の缶・蓋の温度耐性に基づいて定めています。
蓋には、缶と蓋を密着させる役割のシーリングコンパウンド(ゴム材質)と呼ばれるものが塗布されています。
事前の殺菌でシーリングコンパウンドが劣化してしまうと、巻き締めの際にきちんと密封ができませんので、何度も繰り返し殺菌せず、そして高温で長時間殺菌しないようにしましょう。
また、殺菌後は缶や蓋が錆びないように、きちんと乾燥させます。
缶の殺菌は衛生上の観点から、使用する当日に行ってください。

2.食材の下処理

食品製造において、食材の下処理は最終製品の品質に影響を及ぼします。
そのため、缶に詰める食材も下処理が非常に重要となります。
各食材の詳しい下処理方法やポイントについては、こちらをご覧ください。(ただいま執筆中です。もうしばらくお待ちください)
下処理方法は食材によって異なりますが、おおまかな流れは同じです。
本記事では、下処理方法の流れについてご説明します。

【洗浄】
下処理は、食材の洗浄からスタートします。
洗浄は、農作物であれば農薬や土、肉類や魚類であれば寄生虫などの付着物を取り除く目的があります。
洗浄が不十分だと、食品への異物混入となるため注意が必要です。

【カット】
次に、食材のカットを行います。
大きさは、食材の特性によって変更しますが、ベースは缶の大きさに合わせて行います。
レトルト殺菌時に熱を均等に通すためにも、できるだけ大きさを統一してカットしましょう。

【ブランチング】
カット後は、食材をブランチングします。
ブランチングとは、冷凍食品や缶詰などの加工食品を製造する際に下処理として行われる工程です。
食材を短時間加熱し、食材中の微生物や酵素の働きを止める役割があります。
また、余分な水分の排出、脂肪分を溶出させることで、内容物の味が薄まることや、余分な脂肪分による食味の低下を防ぐことができます。
ブランチングは缶詰製造において重要な工程ですが、過度な加熱は植物性食品であれば肉質の軟化、動物性食品は硬化やパサつきにつながります。
食材の種類や大きさ、肉質により、過不足のないようにブランチングの温度と時間を調整しましょう。

3.食材の充填

弊社では、少量多品種の缶詰を製造しているため、機械ではなく手詰めで充填しています。
試作においては、缶詰を開けた時の見栄えが良くなるように、充填の順番や配置を考えていきます。
詳しい充填時のポイントは、こちらをご覧ください。(ただいま執筆中です。もうしばらくお待ちください)
手詰めでは、機械詰めにはできない多品目の材料を詰めることが可能です。
彩りや量目を工夫しながら充填しましょう。

4.脱気・密封(巻き締め)

脱気の目的は、使用する容器により目的や効果は多少異なりますが、一般的には次の事項が挙げられます。

(1)容器内残存酵素による内容物の酸化変質(色・香味・栄養成分)を防止する。
(2)殺菌・冷却工程での容器強度を維持する。
(3)電熱の悪い空気をできるだけ除去して殺菌・冷却時の電熱を良くする。
(4)生詰の場合の固形詰込み量を安定化させる。
(5)缶の内面腐食を防止し、製品のシェルライフを長くする。
(一部省略)

缶・びん詰,レトルト食品,飲料製造講義Ⅰ(総論編)
平成14年5月20日 発行

脱気にはさまざまな方法がありますが、缶詰では一般的に真空脱気法を用います。
真空巻締機により減圧された雰囲気内で、機械により巻き締め(密封)する方法です。
この方法は、食品の温度を上げずに短時間で脱気ができます。

5.レトルト殺菌

食品の加熱殺菌は、食品中で増殖する微生物を対象とします。
加工食品の中には、食品衛生法により殺菌条件が定められているものもあります。
缶詰を含む容器包装詰低酸性食品は、食品衛生法において、
「pHが4.6を超え、かつ水分活性が0.94を超える容器包装詰加圧加熱殺菌食品にあっては、中心部の温度を120℃、4分間加熱する方法、またこれと同等以上の効力を有する方法で殺菌しなければならない」と定められています。
この殺菌条件は、容器包装詰低酸性食品で生育する可能性のあるボツリヌス菌を死滅させる目的で定めています。
ボツリヌス菌については、こちらをご覧ください。
ボツリヌス菌が生育できないpH4以下の酸性食品では、殺菌条件の対象を別の耐熱性のある微生物とします。
このように、内容物のpHや水分活性を考慮し、腐敗・変敗の原因となる微生物を対象とした殺菌条件を設定しましょう。

いかがでしたでしょうか。
缶詰の試作の流れは上記のようになっています。
この流れを繰り返し、商品化へと進めていきます。
缶詰製造は一見難しそうに思えますが、工程としては単純です。
私たちと一緒に缶詰製造にチャレンジしてみませんか?

工場導入にご興味がありましたら、こちらからお問い合わせください。
缶詰の共創開発にご興味がありましたら、こちらからお問い合わせください。

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